「ママのところに生まれて来てくれてありがとう。」と、
これまでに何回 伝えているだろう。
私をママにしてくれてありがとう。といつも思う。
母親になり、ぐわっと視野が広がった。
自分中心に回っていた時間軸。
気の向くまま、思うままに生きていた。
10年前、夜中の0時に「ズシン」と下腹部に衝撃が走った。
初めてなのに「陣痛だ!」と分かった。
グリグリと身体が引き裂かれそうな感覚と、
骨盤に向かって杵で何度も打突かれるような痛さ。
獣(けもの)と化した自分に、「あぁ、なんて動物的なんだろう。」と振り返る。
29歳で人間の赤ちゃんを産んだ。自分の身体の中から、命が誕生したのだ。
ものすごいことだ。
人を1人産んだ。(しつこい)
あれから、10年。
最初の5年は武者修行のようだった。
二人目は、3年後に出産。
私1人だけの、3歳児、0歳児の寝かしつけは困難を極めた。
泣き叫ぶ二人の我が子。
「このまま絶叫し続けて脳の血管が切れたらどうしよう。」と本気で考えた夜が幾度あったことだろう。
「癇癪を起すと手がつけられなくなる娘にどう対処すればいいのだろう。」
何か憑いているのかと本気で悩むことも。お祓いに行けば良かったのか・・、など。
振り返れば懐かしさでいっぱいだけど、今は今で子ども達と向き合い、学びの連続。
未熟だった私は、この子達に鍛えてもらった。
私をママにしてくれてありがとう。
お陰で、知らなかった分野に興味を抱き、関わる機会のなかった人達と出逢い、刺激を、優しさを、心の豊かさを知り、毎日を飽くる事なく重ねている。
これからも、アナタ達の笑顔が見たくて、ママは今日も側にいるから。
この子達の人生が、この子達らしく拓けるように。
ママはママの人生を生きるように。
家族との時間を、自分との時間を。
これからも続く母としての私と、この先10年の成長を。
成人する姿を想像しながら。
産まれて来てくれて、ありがとう。
今日も笑顔をありがとう。
おはようも、おやすみも、行って来ますも、ただいまも。
何気ない日常の繰り返しの中で。
感謝しきれぬ程の倖せと喜びを。
愛するということは、こういうことなのだと知った。
そんなママ暦10年のわたし。
前田カオリコ
エッセイスト・話し方プロデューサー
1976年生まれ 新宿区在住
2児の母
新宿区発のママ*サークル「ブルーミング・マム」代表
新宿区子ども・子育て会議委員
2016年度 新宿子育てメッセ 実行委員長
昭和女子大学 社会人メンター
小学校英語指導者資格
『魅話力®』検定 作成中