紀行 一覧

サンフランシスコ郊外で過ごした日々。

たった5日間のホームステイ体験。
私は、この家族のことが大好きになっていた。
白髭を生やした背が高くて、お腹がでっぷりと出ているマイクはこの家のお父さん。
いつも大らかで料理を作ってくれて、奥さんのことを愛していて。
自然体で、日本食が好きだった。
日本から持参したカレールーを使って作ったカレーライス。
みんなに振る舞ったらとても好評で。
12人分作ったのに、あっという間に無くなっていた。

マイクがリビングで寛いでいる合間を見て、お別れの挨拶をした時。
「明後日の朝に日本に帰るのだけど、もう明日の朝でお別れなの。」と英語で伝えた。

そうしたら、
「うーん。君の言っている意味が分からないな。」というので、私の英語が伝わってないのかと一瞬思った。ちゃんと正しい英語で伝えたのに。と思った次の瞬間。

「君はもっとこの家に居なくちゃいけないでしょ。」と真顔で言う。

「ほら、見てごらん。君が昨日作ったカレーが美味し過ぎて、どうやったら作るのかYouTubeで調べていたところなんだよ。」と私にパソコンを見せてくれた。

その瞬間に、ボロボロと涙が落ちる。
私ももう少し一緒にここで暮らしていたかった。もっと沢山のことを話したかったと。
ホストのママも、またいらっしゃい。家族全員を連れて。みんなでここへ来てと。
その言葉のプレゼントに感激して、気持ちが通じていたことを心から感謝して。

 

私は人が好きだ。
それが私の原点。
気持ちで繋がること。インターネットで世界中の人と繋がれる今。
留学していた1996年の時にはネットがなかった。
それでもやっぱり人の本質は変わらない。

実際に会い、同じ時間と空間を共有し、自分のことを受け止めてもらい、相手のことを受け入れることを。
人生は出逢いと別れの繰り返しだけれど。
人生はその時の切り抜きの積み重ねだけれど。
そういう人生を重ねて行きたいと思うのだ。

息子は、泣く母親の意味が分からずに「どうしてママは泣いているの?」と聞いた。
それでもいい。ただ、母の私は泣いていたという事実を目の当たりにしただけだとしても。
私はその時の溢れる感情を抑えることが出来ず。
5日間の経験を胸に刻むのだった。

今日も出逢えてありがとう。
私と過ごす時間をありがとう。

また明日。
また会える日まで。
ありがとう。
さようなら。
::::::

帰国して、ホストのパパとママにお礼のメールを送ったら、ママから返信があった。
「昨日ね、夫があなたの作ったカレーを再現して作ってくれたのよ。美味しかったけど、あなたの料理には及ばなかったわ。またすぐに会おうね。」と書いてあった。

その一文を読んで、涙する。
私の涙腺が弱いのは今更だけど、やっぱり誰かに愛されたり、繋がれることの歓びはそこに行って、その人達と触れて、同じ時間を過ごせたから。

貴重な経験をありがとう。
一期一会だとしても。

その時間は私の宝物になり、これから出逢う誰かにつながる。

 

前田カオリコ
コミュニケーション・コンサルタント
登録商標 魅話力(みわりょく)

1976年生まれ 新宿区在住
2児の母

株式会社リコラボ 代表取締役
新宿区発のママ*サークル「ブルーミング・マム」代表
1期・2期 新宿区子ども・子育て会議委員
2016/2017年度 新宿子育てメッセ 実行委員長
日本メンタルヘルス協会 研究修了カウンセラー
昭和女子大学 元社会人メンター

 

 

 

 


【紀行】「解放と閃き」@直島

旅に出た。

仕事ではなく、全くのプライベートで。
ママの夏休みを確保したのだ。

母親である前に、私は個人としての生き方を主張する。
そして、それは私にとってごく当前で自然なもの。

とにかく、私は旅に出ることに飢えていた。
日常から離れることで自分を見つめたかった。

起業すると決めたこと。
仕事と家庭のバランスをギリギリのラインで均衡を保つ日々。
毎日を駆け抜けるスピードに、
自分の鈍さを感じながらも、どうすることも出来ないもどかしさ。
だからこそ、行かなければならなかった。
自分のためにも、家族のためにも、仕事をする上でも。

 

行き先は、瀬戸内の直島・豊島・小豆島。
自然と芸術が融合した島は、その存在だけで私を虜にした。

「生」と「死」
「静」と「動」
「光」と「闇」

私の身体からあらゆる毒素が蒸発していく。
凝り固まった脳が柔軟になり、色までも変化した感覚。
五感の全てを刺激し、身体中を駆け巡る衝動。
脳内に音が鳴り響き、見えない膜が幾枚もはがれ落ちる。

それは私に
赦しと、休息と、心に贅を与え、生きる意味を再認識させた。

過去の記憶、経験さえも呼び起こす。
美しい建築物(アート)と日本の原風景は、私を揺さぶり続けた。

それぞれの世界観が、私を非現実の世界へ連れて行く。
時空を超え、パラレルワールドが日常を超越させる。

 

私がわたしで在るために。

今回の2泊3日の旅は、
経年劣化していた私の感性を、見事なまでにグリグリと上塗りしたのだ。
1週間、1ヶ月があっという間に過ぎる中、
2泊3日という時間の濃密度。

旅先の一期一会。
人生の多様性を体感しながら。

だからこそ、オリジナルを生きること。
他でもない自分のために。

 

 

直島 2016.7.7-9_9249

 

前田カオリコ

話し方プロデューサー 魅話力 (R)

1976年生まれ 新宿区在住
2児の母

新宿区発のママ*サークル「ブルーミング・マム」代表
新宿区子ども・子育て会議委員
2016年度 新宿子育てメッセ 実行委員長
昭和女子大学 社会人メンター
小学校英語指導者資格(J-SHINE)
日本メンタルヘルス協会 公認心理カウンセラー

http://bloomingmom.jp

http://bloomism.jimdo.com