息子(小5)の話〜逆上がり編〜

昨夜のことだった。
家族4人で夜ご飯。その時に息子が言った。

息子:「明日、学校で逆上がりの発表があるんだ。」
私:「あら、いいじゃない。頑張ってね。」
息子:「どれもできないんだよ。」
夫:「ちゃんと練習してきたのか?」
息子:「みんながオレの順番を抜かすから、ちゃんと練習できなかったんだよ。」
私:「出来ても出来なくても、チャレンジしておいで。」

そういう息子は憮然として、夜ご飯を終えた。
その後、リビングで案の定駄々をこねている。

息子:「明日の学校行きたくない。」
私:「あのね、そういうことで何事からも逃げようっていう根性が良くないのよ。」

そんな会話から。
学校の先生が、状況を理解してくれていても、学校の友達の反応が気になるのだから。
繊細な息子は、目に涙をためて鉄棒のテストがいやだと訴える。

最近は、こういうことがなかったけれど。
私も息子への耐性は随分と出来ている。

このまま学校に無理やり行きなさい。と言ったところで。
翌朝はボイコットするだろう。(過去の経験から)

5時間目の体育のためだけに、学校を1日休むという選択は私にはない。
そこで譲歩してみる。

「じゃあさ、5時間目の前で早退しておいでよ。それまでは学校に居られるでしょう?」

それで納得したようで、
おずおずと連絡帳をママに渡して、目の前で書いているところを確認する。

「明日の5時間目の前に早退させてください。家庭の都合です。」
と一筆。
それを見て、安心したのか。歯を磨いてベッドに入る息子。
途中で起きて来て
「ママ、先生からどうして早退するのか聞かれても本当のことを言っちゃだめだよ。」と口止めして。
「うん。大丈夫よ。言わないから。」
そう安心して、眠りについた。

翌朝。
大雨。
天気予報を心配する息子。
「ねぇ、もしかしたらさ、雨で体育中止になるかもしれないから、連絡帳を見せるのは給食の時でもいいんじゃない?」とそそのかす私。
「そんなことしたら、もっと体育やりたくないのわかっちゃうじゃん。」
そもそも、早退する時点で怪しいだろうと母は思うぞ。とぐっと声に出すのを抑えて。

「大丈夫よ。連絡帳にはちゃんと書いてあるでしょう。」
そう言って。納得させる。

どうやら、まだ葛藤しているようだ。
みんなにからかわれるのは嫌だけれど、逃げるのもいやだ。
でも、わざわざ分かっているのに傷つけられたくない。

その気持ちの揺れに。
登校で家を出た直後に。

担任の先生に電話する私。
えぇ、言いますよ。報告しますよ。そんな母です私。
もちろん、彼のことを思って。

「あの、かくかくしかじか・・でして。」
と報告と、その時の状況を説明しながら、体育の様子を聞くと。

先生:「そうなんですか。鉄棒苦手なのがよく分かっていました。
他の子も何人かできなかったりするので発表はわざわざみんなの前でしなくてもいいように、と考えていたので、今日の朝、そのように伝えみようと思います。」という担任の先生の対応。

それでも、どうしても嫌だったら早退ですね。
その時は、お迎えをお願いします。

「!!」 お迎え・・など出来ぬ。今日は仕事で夕方までスケジュールが入っているのに。
しまった。油断した。

そう思いながら、昼時に先生からの電話を受ける。

「息子くん、連絡帳見せて来ませんよ。」
「実は、もう体育着に着替えてみんなと遊んでいます。」
「!!! そうなんですか?!」
「はい。やっぱりみんなの前で発表しないというのがよかったのか分かりませんが、もう連絡帳出すタイミングないと思うので、このまま様子を見ますね。」

そんな知らせを受けて。
帰宅した息子からの電話に、私もとぼけて対応する。

「あれ?学校最後までいたの?」
「うん。」
「鉄棒はどうだった?」
「全部、出来た。」
「すごいじゃーーーん!!よかったね。頑張ったね。」と褒めて。

あんなに嫌だったのに。
よく頑張りました。と。
逃げ道を用意することで、気持ちにも余裕ができたこと。
学校に行けたこと。彼の中でも葛藤があっただろうけれど。
これは一つの成功体験として。

彼は傷つくことを知っていて。
それを我慢できるメンタルを持ち合わせてない。
それは弱さであり、鍛えて欲しい部分だけれど。
学校自体が嫌いになってしまうよりも。
それでよかったと思っている。

こうであるべき。を取り払い。
どのように対応していけるかが課題だと思うから。
先生とのコミュニケーション。
子供とのコミュニケーション。
理解してくださることにも。
大切なことは何かを考えさせられる。

きっと息子はそういう意味でも。
私を試しているのかもしれない。

前田カオリコ
フリーアナウンサー
コミュニケーション・コンサルタント
登録商標 魅話力(みわりょく)

新宿区在住
2児の母

一般社団法人ブルーミング・マム 代表理事
株式会社リコラボ 代表取締役
1期・2期 新宿区子ども・子育て会議委員
2016/2017年度 新宿子育てメッセ 実行委員長

高校時代にロータリークラブの青少年交換留学生として1年間アメリカ・ミネソタ州に留学。
ヨーロッパ・アメリカ・カナダ・アジア各国の学生との交流により価値観の多様性に触れる。
子連れホームスティ・三世代ホームスティなどを経験。
「自分が大好きになる子育て」をテーマに子育てに関する講師としても活動。

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