時折、思い出す。
「お前、知ってるか?結婚する理由も、離婚する理由も同じなんだぞ。」
餞(はなむけ)の言葉だったのだと思う。
退職の挨拶で、局内を回っていた時のことだった。
結婚で地元を離れることになった私は、本当にお世話になった放送局の人達が大好きだった。
一緒に仕事をしたことのない人達にも、可愛がってもらっていたことを思い出す。
そんなフリーのプロデューサーM氏の一言を反芻するようになったのは、
いつ頃からだったろう。
「アナタと私は、こんなに違う。だから最高に合うのね。」という結婚当初。
「アナタと私は、こんなに違う。だから一緒に居ることが出来ない。」という離婚時の言葉。
「なぁ、同じだろ?だからな、価値観の違いとか色々言うけど、一緒に暮らしてみないと分からないことだらけなんだよ。」
あくまでM氏の経験談だと思っていたのに。
あれから12年以上が過ぎた。
ベクトルが逆を向いているんじゃないかと思うような夫の言動を思う。
価値観が違うからこその結婚。
他人と共に生活すること。家族になること。
我が子でさえも、別の人格を持って生まれて来る。
そこに両親からの別々の価値観に触れながら育つのだ。
教養・知識・経験・・・
母として、人生の先輩として。
伝えてたいことが沢山あることに改めて気付くのだ。
前田カオリコ
エッセイスト・話し方プロデューサー
1976年生まれ 新宿区在住
2児の母
新宿区発のママ*サークル「ブルーミング・マム」代表
新宿区子ども・子育て会議委員
2016年度 新宿子育てメッセ 実行委員長
昭和女子大学 社会人メンター
小学校英語指導者資格