「今日は18時まで遊ぶ約束してるんだ。
あーちゃんのウチに行くなんて、そんなの聞いてない。」
そう言って、頑なに拒んだ。
もう、どんなに説得しても遊びに行くと言って聞かない。
「じゃあ、みんなで行ってくるよ。」と伝えても。
「オレは留守番してるから。」と言い張る。
そうか、そうだね。仕方ないから、先に実家へ行ってて。
と、夫の実家へ行く予定を少しだけ変更した・・・つもりだった。
夕方16時くらいには到着したいと言う夫。
そんなの分かっているけど、息子の意志は変えられないよ。と。
だから、後から電車で行くから。と伝えたのに。
15時になり、公園に迎えに行ってくる。と言って出て行った夫。
あー。そんなことをしたら、後からだって絶対に行かないって言うのに。
どうして分からないかなー。
全身で疲れた。
理解されてないんだなー。
「そんな風に楽しい時間を無理矢理中断したら、傷つくでしょ。」
「傷つかないよ。傷つきません。それに、本人のワガママだろ。」
「どうして自分のことじゃないのに、傷つかないって断言出来るの?」
あなたとは違うでしょ。分からないのに。勝手に決めないで。
それは、息子の心の声であると同時に、私の気持ちだった。
あぁ、あなたはまたそうやって私たちの気持ちを理解しようとせず。
自分の我慢できる基準で行動するのね。と。
公園で遊んでいた息子に声を掛け、一緒にいた友達とは別れたと言う。
それからしばらくして。
憮然として帰宅する息子。
「ママ、どうしてパパにちゃんと言わなかったの?」
伝えたのよ。と言っても。
息子は納得できない。
最初の約束と違うじゃん。
18時まで遊んで、その後ママと二人で電車で行くって言ったのに。
まだ、3時間もあるのに。遊ぶ時間がなくなっちゃったじゃん。
もう、絶対に行かないから。と言い張って。布団から出ない。
あー。
ほらね。こうなるってどうして予測できないの?
絶対に行かないって言い出したら、絶対に無理だよ。
今までもそうだったじゃない。
その中でベストの選択を考えていたのに。
遅れてでも顔を出せたらいいのにって。
新年会と誕生日会をしようって言ってた気持ちも。
方々に申し訳なさを感じながら。
私の気持ちも崩れた。
夫の言い分も本当は分かってる。
それでも、息子の気持ちも、義母の想いも考えてのことだった。
娘だって、まただ。と思っているだろう。
結局、夫と娘だけが行くことになった。
「お義母さん、すみません。今日は行けなくなってしまいました。」
電話で事情を伝える私。
掛けられた言葉に涙が溢れる。
「そうねー。それはママも辛いわねー。」と言う何気無い一言に。
気を取り直して。
じゃあ、二人で夜ご飯を食べに行こうよ。とネットで検索しながら。
ハンバーグにする?お肉にする?
オレ、食べ放題がいいな。と言いながら、なかなか決められないでいると・・。
なんでだよ。結局、ママが行きたいお店に誘導してるだけじゃん。
「もういい。誕生日なんていらない。」
印象的な言葉を吐き、わーんと泣く息子。
息子の誕生日のお祝いなのに、息子が優先されてない気持ちにさせてしまった。
あー。
やってしまった。
そうだよね。
ごめんね。
そういうところが、私にそっくりで。
驚くほど似ていて。
その感情が私の中に渦巻くのだった。
今度は、私が同化して苦しくなって。
悲しみが移る。
あぁ、この面倒な感情移入を。
このコントロール出来ない状況を。
ただただ苦しさを覚えた時間に。
それでも。
包み込むことしか出来ない。
一般的にはこうだ。という一般常識で行動が出来ないこと。
それは、一言に発達障害だからという表現をすることで片付けていいのだろうか。
私は自分のことをとても普通だと思っているし、日常生活に支障をきたすようなことをしていない。
対人でもトラブルを起こすこともなく。
日々の生活を営んでいるつもりだ。
今日もひとしきり言葉に落として。
自分と向き合い、受け入れる手段として。
前田カオリコ
コミュニケーション・コンサルタント
登録商標 魅話力(みわりょく)
1976年生まれ 新宿区在住
2児の母
株式会社リコラボ 代表取締役
新宿区発のママ*サークル「ブルーミング・マム」代表
1期・2期 新宿区子ども・子育て会議委員
2016/2017年度 新宿子育てメッセ 実行委員長
日本メンタルヘルス協会 研究修了カウンセラー
昭和女子大学 元社会人メンター