忘れもしない年長の10月15日。
その日は下の娘の3歳の誕生日でしたが、申し訳ないことに私の頭の中はそれどころではなく。
子ども園を早退して向かったのは教育委員会。
医師による面談を受けるためでした。
普段は新しい場所や初めて会う人に対して、どちらかと言うと興味津々で好奇心が強い息子ですが、
この日はめずらしく警戒心をあらわにして行くのを嫌がり、少し意外でした。
医師面談は親子一緒に行われ、入室時から一挙手一投足を凝視されるただならぬ緊張感でした。
「なんとか無事に終わってほしい」
そればかりを願っているそばから、息子はいつになく落ち着きのない様子で
わざと椅子から下りてしまったり、
わかっているだろう簡単な質問にも答えなかったり。
最終的には、絵を描くのが好きな息子がそれすら投げやりな状態で終了し、
私は呆然としてしまいました。
担当の女性の医師からは、
入室時に息子が面談には無関係な室内の様子を気にして質問した点を
「注意力散漫なこだわり」であると指摘されたり、
カレンダーについて
「何がわかるものか」という質問に対して、
正解の「日付がわかるもの」という言い方で答えられなかったことを
「年齢不相応」だと言われたり。
さらには、以前教育委員会の担当が子ども園に普段の様子を見に行った時の報告書についても触れ、
「友達とのコミュニケーションがあまり上手くとれないようですね」と。
それらの言い方が、
本当に冷やかで機械的なのです。
そして最後に
「最終的に決めるのはご両親ですが、医師の立場としては支援学級をお勧めします。」
と、きっぱり言い切りました。
心理士から発達検査の結果を聞く際や、療育の先生との会話の中で
「この先、もしかしたら普通学級では難しい部分が出てくるかもしれない。」
と、やんわり言われながらの就学相談の課程で、
初めてここまではっきりと言い切られたことに
「こんな一瞬の面談で息子の何がわかってそこまではっきり言いきることができるのか!?」
と、強烈に反発を覚えました。
実は今回の医師面談の4ヶ月ほど前に、就学相談とは全く別で個人的に一度病院に行っていました。
でもその先生は今回の先生と対照的に、とても慎重に話す人で、
「発達検査の結果と、息子さんの様子を見る限り病名はつけられない。
とても判断が難しい、まさにボーダーのラインです。」
と仰いました。
「ボーダー」とは
医学的な用語ではないですが、
一般的に発達検査によるIQ値が知的障害と認定されるラインから健常児のラインまでの間、
いわゆる「グレーゾーン」と同じ意味で使われている言葉のようです。
(東京都の療育手帳取得基準値はIQ75以下で息子はこの時点でIQ84でした。)
このような経緯があったため、
今回の面談の担当医師の、人としての温かみの欠片も無い辛辣な言い方は、
揺れ動きながらも懸命に子供の進学先について検討している親にとって本当に不愉快なものでした。
そして、約1か月後に
また教育委員会に出向きました。
次はいよいよ就学相談の課程の最後、集団行動観察会です。
これは子供のみ(息子を含め5人でした)で行われ、
親は別室で待機だったため詳しい内容はわかりませんが、
その年の担当校の支援学級の先生の指示で運動などする様子を
十数名の専門家(心理士、医師、支援学級のある学校の校長、教育委員会の担当など)で観察し、
その様子と、それまでの就学相談の課程全ての結果を踏まえて、
普通学級または支援学級のどちらが適当かを判断されます。
観察会が終了して息子が戻って来た時には、
どういう判定が出たとしても、やっとこれで一段落したという気持ちが強かったです。
判定結果は数日後に電話で連絡します、とのことでした。
つづく
みゆきさん
結婚10年目で出産後は専業主婦生活。
趣味は家族でアウトドア。
7歳男児
4歳女児の母。
世田谷出身
新宿在住