つどい先生流*子育てのコツ ~ママと子どもの笑顔のために~ Vol.9「誉める?叱る?〜叱るポイント」

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みなさん
前回の自己肯定感のお話はいかがでしたか?
お子さんを丸ごと受け止めるというのが、少しずつでもできていたら嬉しいです。

では、実際に丸ごと受け止めることができるようになったママさんは、
次の段階として、「誉めて育てる」という育児に入っていきます。
しかし、世の中ではいろいろな育児方法が情報として流れていますよね。
「叱らない子育て」という本があると思えば、誉めることの弊害について書かれている本もあります。
一体どれを信じたらいいの?とママさんたちは迷ってしまうでしょう。
そこで、今回はまず、「誉める?叱る?〜叱るポイント」というお話をしようと思います。

私は、子育てにおいて、「叱らない」というのはあり得ないと考えます。
それって、ただの甘やかしですよね?
「誉めて育てる」という言葉がひとり歩きし、
「誉める=叱らない」と勘違いしているママをたまに見かけます。
悪いことをしているのに叱らない親、
お友達を叩いたのに謝らせない親、
児童館などでそんなママに出会ってしまったら困ってしまいますよね?

しかし、ガミガミ怒ってばかりというママさんには、大反対です!
それって、どういうこと?
矛盾しているように見えるかもしれませんが、
まず「叱る」と「怒る」は大違いだということです。

「怒る」は、その時の感情を相手にぶつけること。
同じことをしても怒る時と怒らない時があり、ぶれが生じます。
子ども側からすると、同じことをしても怒られる時と怒られない時があるため、それを繰り返すうちに怒られても響かなくなります。

例えば…
3歳の子を想像してみてください。
朝、保育園に行く前に、なかなか着替えないとママに怒られる。
夜、お風呂あがりには、なかなか着替えなくても怒られない。ママが着させてくれる。
子どもにしてみれば、同じ「着替え」という場面なのに、ママが怖かったり、優しかったり…
本当はどうすればいいのか混乱してしまいますよね。
「怒る」背景にあるのは、ただ一つ。
ママの心に余裕があるかどうか、それだけです。
そんなママの感情に振り回されて怒られる子どもの気持ちを想像してみてくださいね。
悲しくないですか?

「叱る」は、ある一定の基準にしたがって注意を促すこと。
基準があるため、ぶれがなくなります。
これをしたらママに叱られるという一貫性があるため、子どもに効果が出やすくなります。

私が小学校の教師になって2年目。
校長先生から「叱る3原則」というのを学びました。

「叱る3原則」

1. 命に関わる行為(危険な遊び、暴力など)

2. 人権を侵害する言動(差別、身体の悪口など)

3. 他人にひどい迷惑をかける行為(破損、意地悪、邪魔をするなど)

子どもを叱る場面はこの3つだけです。

簡単に言うと、「危険なこと」「人を傷つけること」「人に迷惑をかけること」の3つ。
これを頭に叩き込んでおくと、子どもを怒る場面がぐっと減り、ポイントを絞って叱れるようになります。
今まで子どもにイライラしていた場面で、怒らなくていいと気づき、優しくなれるかもしれません。

でも、この3つ以外に、どうしても譲れないことって、人によって様々ありますよね。
例えば、食事中のマナーとか、言葉遣いとか…
そういう方針のあるママさんなら、「叱る3原則」に1つか2つぐらいなら叱るポイントを加えてもいいかもしれません。

さて、叱る3原則についてお話しましたが、実際に叱るのは3歳を過ぎてからです。

私自身の子育てでは、「3歳までは叱らない(叱る必要がない)」と決めて育てていました。
赤ちゃんとしてこの世に生まれてわずか3年。
まだまだ発達途上の段階で、人間としてのルールを覚えている時期なので、声を荒げて叱る必要はないのです。

では、悪いことをしたらどうするのか?

「叱る」のではなく、「教えて」あげればいいのです。

2歳の娘Aが、児童館でおもちゃの取り合いをしてBちゃんを叩いてしまったとします。
これは、「人を傷つけること」に当たるので、叱らなくてはいけない場面。

「叩いちゃダメでしょ!謝りなさい!」と、とっさに言ってしまうママは多いと思います。

これを、「叱らずに教える」にはどうするのかをご紹介しますね。

「Aはこのおもちゃで遊びたかったんだね。」(まずは娘の気持ちを丸ごと受け止める。これが一番大切!)
「だからおもちゃを取っちゃったんだね。」
「Bちゃんも、このおもちゃで遊びたかったんだって。Aとおんなじだね。」
「さっきAがBちゃんを叩いちゃったから、Bちゃん痛い痛いって。」
「お友達を叩くのは、やっちゃいけないんだよ。」
「どうする?謝ろうか?」
「(ママも一緒に)(Bちゃん、さっきは叩いちゃって)ごめんね。」
と、娘の気持ちに寄り添って話を進めていきます。
そして、ここまでできたら、ママたちが順番こに遊べるよう導いていきます。
その後、順番に貸してあげられたら、
「Bちゃんに貸してあげたの!優しいね。よくできたね。」
とすかさず誉めてあげます。
ママに誉められて、こうすればママは喜ぶんだ!と覚えていくんですね。

このケースでは、叱らなくてはいけない場面で、叱らずに教え、よくできたことを誉めて終わることができました。
子どもは、叱られたことよりも、誉められたことの方が行動が強化されます。
子どもはこうして、「貸してあげる」「順番に使う」ことを覚えていき、必然的に「叩く」場面がなくなっていくのです。
しかし、まだまだ言葉が未発達の2〜3歳のうちは、叩く、押す、嚙みつくなどをして意思表示をするのは当たり前。
誰もが通る道です。
その都度、根気強く「教えて」あげてくださいね。

さて、「叩いちゃダメでしょ!謝りなさい!」と言われた子の気持ちも代弁しておきますね。

「ママが怒ってる。どうしよう…」
「Bちゃんがひっぱるから、叩いちゃったんだもん。」
「Bちゃんも悪いのに、なんで私が謝るの?」
「ただこのおもちゃで遊びたかっただけなのに…」

納得のいかないまま、謝るなんて…
大人でも嫌なのに、2歳だったらできなくて当然!
ママは怒ってばっかり!私の気持ちを分かってくれない!という気持ちが蓄積されてしまうかもしれませんね。
そうなったら、思春期が大変です!

先ほど、叱るのは3歳を過ぎてから…とお伝えしましたが、3歳を過ぎても「叱らずに教える」育児を続けても、もちろん大丈夫です。
その子の成長に合わせて叱り方を変えてみてください。

最後に、叱り方のポイントをお伝えします。
それは、「人格を否定しない」「行動を叱る」ということ。

友達を叩いてしまった7歳のYくん。
「何やってるの!まったくYはいつもそうなんだから!」
これは、Yくんの人格を否定していて、何について叱っているのかが明確ではありません。
「Y!お友達を叩くのはいけません!」
これは、叩くという行動を叱っています。
違いがわかりますよね?

子どもを叱らなければいけない大切な場面で、叱り方を間違えてしまうと、
以前ご紹介した「子は親の鏡」の一節
『叱りつけてばかりいると、子どもは「自分は悪い子なんだ」と思ってしまう』

という結果になってしまいます。
これでは、自己肯定感の低い子に育っていってしまうのです。
自己肯定感の高い子に育てたいのに、矛盾してしまいますね。

いかがでしたか?
叱るポイントを押さえ、叱り方を工夫する。
そして、1日の終わりに、
叱った回数<誉めた回数 になっていたら理想的です。
自分の育児はどうかな?と見つめ直してみてくださいね。
すでにできているママさんは、はなまるです。
叱る回数が減り、誉める回数が増えた子どもは笑顔に…
そしてママも自然と笑顔になることを願って…☆

 

つどい

 

 

子育てアドバイザー 集~tsudoi~

13歳と7歳の娘をもつ教育者。

13歳と7歳の娘をもつ教育者。
小学校の担任教師として7年間勤務。

娘が4歳の時に退職。当時の長女は、朝一番に保育園に預け、
一番最後にお迎えに行くという生活。
娘との時間を十分取れないことが、娘の成長によくないことだと一番わかる職業だったため、母親としての立場を優先し、退職を決意。
その後は、小学校にて、発達障害(自閉症スペクトラム・ADHD・LDなど)や愛着障害の子どもたちをサポートする仕事に転職。
教育現場で子どもたちと関わって16年。
様々な子どもたちと関わり、教育してきた経験から、独自の育児論を持ち、それを娘たちの育児の中で実践中。

また、趣味の延長でフラワーアレンジメントのディプロマを取得。
自宅レッスンやウェディングブーケ制作なども行っている。

実績:
スリーエム ジャパン株式会社「子育てセミナー」
教員向け夏季研修・新人研修


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