つどい先生流*子育てのコツ ~ママと子どもの笑顔のために~ Vol.10「誉める?叱る?〜誉めるポイント」

column-tsudoi-top10

みなさん
前回の叱るポイントのお話はいかがでしたか?

「頭ではわかっているけど、実践するのは難しい…」
「ついイライラしちゃうのよね…」

などの感想を寄せていただきました。

実際にできるかどうかは、

「ママが本気で実践する気があるかどうか。」だけ。
本当はとてもシンプルなものなんです。

実は、私が教師になって1年目のクラス(当時2年生)は学級崩壊寸前でした。

しかし、2年目に学んだ「叱る3原則」を実践したところ、1年目がウソのように、子どもたちを統率できるようになったのです。

具体的には、
この3原則を始業式の翌日クラスの子に話し、
「先生がみんなを叱るのは、この3つの時だけです!」と宣言。

叱るよりも誉めることが増え、子どもたちもみるみるイキイキとして私の話を聴くようになりました。
当時の私は、経験や実践力なんてほとんどありません。

あったのは、素直に「校長先生に言われた通りにやってみる!」という「やる気」だけ。

「まずはやってみる。」
実は、これが一番難しいのかも知れませんが、試してみる価値は充分にありますよ。

さて、今回は後編「誉める?叱る?〜誉めるポイント」のお話。

このコラムを読んでいる方はママが多いと思うのですが、
「ご自分のお子さんのいい所を3つ挙げてください。」と言われたら、すぐに言えますか?

私の娘の保護者会でのこと。
先生から「お子さんの自慢を3つ教えてください。」とお題を与えられました。
「たくさんあるんですけど…」と、私は、数ある娘のいいところから3つに絞って話しました。

しかし!
大半のママたちは、
「ダメなところならたくさんあるんですけど…えー?自慢ですか〜?」から始まり、
まず、ダメなところをいくつか話してから、ほんの少しのいいところを話すのです。

自慢を、と言われているのにダメなところを話すって…。
娘の保護者会ながら、ついつい教師目線になり、だからあの子はあんなに自信がないんだ…などと思うこともしばしば。

日本人は謙遜を美徳とする文化があるので、
まずは謙遜からという方もいるかもしれませんが、
多くのママは、どうやら子どもの悪い部分にばかり目が行ってしまうようです。

実際に、保護者会やセミナーなどでママたちとお話すると、わが子のことを「誉めるところがない」という方がかなりの数います。
 

では、どうやって子どもの良いところを見つけたらいいのでしょう?
 
 
「誉める」=「人より秀でているところ」と思いがちですが、
「できて当たり前」と思うようなことを「できている」事実に目を向けてみてください。
そのことだけでも十分誉める価値があります。

「すごいね!」ではなく、「がんばったね!」も、誉め言葉。

このように、子どもを見る視点を「良いところ見つけ」にシフトすること。
これが誉めるポイントです。
 
 
 
小学校1年生のAくんの例です。

ママが働いているので、放課後は学童クラブへ。
宿題は学童で終わらせる約束になっているので、その日も漢字練習の宿題をしてきました。

ママは仕事から帰宅すると、真っ先に宿題チェック!
さて、ここからが問題です。
 
 
宿題を見たママは、

「A!なんでこんな雑な字で書いてくるの!」
「早く遊びたいからって、急いでやったんでしょう!」
「ここからここまでやり直し‼︎」

というのが、ママたちからよく聞く光景です。
しかし、これでは帰宅した途端イライラモード。

子どもも、やっとお家に帰ってきたのにいきなり怒られて…
子どもの立場からしたら、どんな気持ちだと思いますか?
 
 
字が雑だとか、遊びが優先とか。
実際の子どもなんて、そんなものです。
 
 
子どもを伸ばしたいと思っているのなら、アプローチ方法を変えるのが一番!
 
実は、このやりとりの中に誉めポイントがたくさんあるのです。

まず、宿題チェックをしてからの第一声。
「おぉ!今日も約束通り宿題やってきたんだね!がんばったね!」
と、やってきた頑張りを認めてあげましょう。

本来、「遊びたい誘惑に負けず宿題をやった」という事実は、とても素晴らしいことなのです。
 
 
そして、
「この字とこの字、上手に書けたね!先生のお手本みた~い‼︎」
と、よくできている文字を大げさに誉めてあげます。

まだ1年生なので、「大げさに」が通用します。
 
 
ただ、雑な文字は直したいですよね。
そういう時は、
「この上手な字みたいに書けなかった文字はあるかな?雑になってるところはないかな?」
と、本人に見つけさせて、そこを直させます。
直したらすかさず、
「ほら!さっきよりずっと上手に書けたね‼︎」
と、誉めちぎる。

多少雑な文字が残ったとしても、そこは目をつぶってあげましょう。
あとは担任の先生が直してくれますから。
 
 
 
<誉めポイント~3ステップ>

①「宿題を終わらせてきた」という事実を認める
②よくできているところを大げさに誉める
③直して上手にできたことを誉める
 
 
これなら、イライラ親子タイムが、笑顔の時間になるのではないでしょうか?
 
 
前回もお伝えしましたが、子どもはダメなことを叱るよりも、よくできたことを誉めた方が行動が強化され定着していくもの。
何度言っても直らない…という場合、その子はきっと叱られてばかりでどういう行動が正しいのかがわかっていないのです。
 
 
「〜はダメ」というのではなく、
「〜をしてほしい」という伝え方をすると、すんなり理解でき、行動が変わってきますよ。
 
 
 
子どもがまだ1歳ぐらいの時の接し方を思い出してみてください。

音楽に合わせて手拍子をしただけで「上手だね~‼︎」
離乳食を食べただけで「いっぱい食べてえらいね~‼︎」

などと言っていませんでしたか?
たとえ手づかみでぐちゃぐちゃにして食べていても、「汚いからやめなさい!」とは言わなかったはずです。

その頃と同じように、子どもは毎日毎日少しずつ成長しています。

「誉めるところがない」というのは、ママの要求水準が上がってしまったから。
ここ、ポイントです。

私の中学1年生の娘は、お弁当箱を毎日自分で洗います。
それは、約束したことなので、我が家では「やって当たり前」のことです。
中学生なので、いちいち誉めませんが、数週間に一度ぐらいは

「毎日ちゃんとお弁当箱を洗っていて、えらいね!」
「ママ助かってるよ。」と伝えます。

それだけで、とても嬉しそうにしますし、認められたことにより翌日からも、また続ける力に繋がっていくのです。
 
 
そう、「当たり前のことを認め、誉める。」だけ。
いかがでしたか?
 
 
 
最後に、
叱る時と同じように、人格ではなく行動を誉めてあげてくださいね。
 
 
「◯◯ちゃんはえらいね!」
「◯◯ちゃんはいい子だね!」

と、人格を誉めると、弊害が出てきます。

このお話はまた次回に…

叱るポイントと誉めるポイントを押さえ、
毎日が、叱った回数<誉めた回数 になることが理想です。

たくさん誉められ、認められて育った子は、自分に自信がもてるようになります。
そして、人に優しくできるようになるのです。

そんな子が一人でも多くなることを願って

 

つどい

 


 

 

子育てアドバイザー 集~tsudoi~

13歳と7歳の娘をもつ教育者。

13歳と7歳の娘をもつ教育者。
小学校の担任教師として7年間勤務。

娘が4歳の時に退職。当時の長女は、朝一番に保育園に預け、
一番最後にお迎えに行くという生活。
娘との時間を十分取れないことが、娘の成長によくないことだと一番わかる職業だったため、母親としての立場を優先し、退職を決意。
その後は、小学校にて、発達障害(自閉症スペクトラム・ADHD・LDなど)や愛着障害の子どもたちをサポートする仕事に転職。
教育現場で子どもたちと関わって16年。
様々な子どもたちと関わり、教育してきた経験から、独自の育児論を持ち、それを娘たちの育児の中で実践中。

また、趣味の延長でフラワーアレンジメントのディプロマを取得。
自宅レッスンやウェディングブーケ制作なども行っている。

実績:
スリーエム ジャパン株式会社「子育てセミナー」
教員向け夏季研修・新人研修


コメントは受け付けていません。