⑩長男の受験を来年に控えて
甲状腺炎とつわりで苦しんだ夏はあっという間に過ぎ、もう秋。
教師をしてきた私にとっては、
息子に考えていたサポートができなかったもどかしい気分を、何となく引きずっていた。
長男の高校受験に向けて、長男に頼まれたサポートをしたかったのにできなかったのだ。
それに、本人が自分で高校を決めていくサポートも考えていたのに、
甲状腺炎を発症していると、夏はとてもきつくて、どうにも動けなかった。
むしろ、サポートしてくれたのは長男で、食事まで作らせてしまった。
計画通りにはいかないものだ。
お腹の赤ちゃんが生まれるのは3月。
中3の1学期は、高校の進学説明会で土日が忙しい。
だから中2の夏にいろいろ目途を立てておきたかったのに。
いまさらどうしようもないので、
「できなかった」を手放して、あるがままを受け入れた。
次第に体調が戻りはじめたころ、長男が具体的にサポートを申し出てきた。
今までになく真剣だった。
見通しが立たない高校受験は、まずは、高校のリサーチが必要と私から息子に伝えていたが、それも本人なりに進めていた。
私からサポートを受けられない部分は(いまどきの中学校の授業は、塾へ行っていることが前提で、数学の導入部分は学校でやっていないように見受けられる)、
youtubeで苦手分野の講義を聴いて本人なりに勉強していた。
そう、彼は彼で成長していたのだ。
私は、過去に見てきた子どもたちの受験前の様子や、
私自身の受験にまつわるあんなこんなを思い出し、自分を駆り立てていたことに気づく。
一方、夫は夫で、息子の将来をとても気にかけていた。
夫とふたりで話していると、いろいろな思いがふつふつとして見えた。
ふたりでもどかしさを共有しながら、いろいろな観念を手放した。
息子を見守るスタンスについて話し合った。
息子のために話しているようで、実は私たち夫婦それぞれの過去の感情と向き合う作業だったように思う。
夫も私も話した後は、なんだか肩の力が抜け、空っぽ状態に。
私も、何か自分が親としてやるべきサポートをしていないのではないかという感覚がなくなっていた。
その後、期末試験前に突入。
息子の質問に答える形で、数学の課題に取り組む様子を見ていたら、
結局、試験範囲の分野を導入からやり直すことになっていた。
長男:「集中しているとこんなにあっという間に時間が経つんだね。やばい、頭良くなりそう。」と言うので、
私:「私も試験あるから、いつもはできないよ。」
と伝えると、長男は私の勉強のスケジュールを聞いて、分野を絞り、指導タイムを設定してお願いしてきた。
今後どうなっていくかは、お楽しみだ。
⑪子どもたちのいたずら
昨年から、なぜかJKのモノマネにはまっていた次男。
そこに長男のいたずらが加わり、
ふたりであるいたずらをパパに仕掛けていた。
それは、お腹の赤ちゃんが女の子だと仮定して、次男が女子になりきり、夫の反応を見るというものだった。
次男:「ねえ、パパ♡、うふ♡、お洋服買って、買って、買ってえ。」
パパ:(鼻の下が思いっきりのびる)
長男:「わっ!!!ねえ、ママ、見たでしょ、いま!パパ、やべえ、鼻の下が思いっきり下がったー」
長男 &次男 :爆笑。
夫 :照れ笑い。
私 :苦笑い。
長男:「(コソコソ。。。)これは使える。よし、つぎ、このバージョンはどうだ?」
次男:「ねえ、パパ~♡♡♡、今日のおやつ、ケーキ5つね♡」
パパ:「いいよ!」
私:「えっ!?ちょっとー、私、頑張って節約しているのに、赤ちゃんが言えばそんなに簡単に何でも買うんだ!へーーーっ!!」
長男:「そーだよ、パパ、やばい、それはない!」
次男:「あー、パパ、いけないんだーーー!」
夫:「(爆笑)あこちゃんのも買います。」
長男:「マジ!?よし、これは使えるなっ。これからこの手でいこう!」
産まれる前から、兄たちの悪巧みに付き合わされる予定の赤ちゃん。
あはははは。楽しそうだな。
それはそうと、しばらくしてから、ふと夫が、
「定年退職したら、あとは隠居したいくらいに思っていたけれどさー、なんかそんなこと言ってる場合じゃないよね。
あこちゃんと何か一緒にできないか?自分は何ができるのか?改めて考えているんだよね。」
と言い始める。
これは次男のシミュレーション効果か?!
いずれにせよ、赤ちゃんの力はすごいなと思った。
当然ながら、赤ちゃんはまだ何かをしたわけではない。人一人の存在そのものの影響はやはり大きいのだ。
「あなたはもう立派な家族だね。」
私はお腹を撫でて、赤ちゃんにありがとうって言った。